A「この件、いつまでに終わらせておけば良いでしょうか?」
B「ああ、これね。これについては、なる早で頼むよ」


B「Aさん、あの件どうなってるかな?」
A「え、あの件はまだ手をつけてません」
B「困るよ、クライアントが待ってるんだから。今すぐ始めて」
A「え、そうだったんですか!?(そう言ってもらえれば…調整したのに)」

この「なる早(なるはや)」という言葉について自分の思うところを少し。

なる早、というのは「なるべく早く」の略語(英語だと「ASAP」(As soon as possible)と使われたりもしますね)。「期限は指定しませんが、これを最優先としてください」という意味になります。この言葉を添えた際の、言った側、言われた側の直後の心情をまとめると、

言った側(Bさん)
・とにかく早くやってほしい。
・ただし、その他に仕事があるなら可能なかぎりで構わない。
・そこらへんのバランスはうまくとってくれるだろう。

言われた側(Aさん)
・なにやら重要そうだ、急いだ方がいいのかな?
・でも期日は伝えられてないな。
・ 今、やっているタスクが○○時までだから、その後にやろう。

となります。あくまで一例ですけど。
こうみると、「なる早」を言った側の期待値に対し、言われた側は、「大事そうだから最優先でやろう」と思うこともあれば、「今は他の期限付きタスクがあるから、それが終わってからやろう」と思うこともあるわけでかなりブレがある解釈をしてしまいます。この認識のすれ違いがコミュニケーションのズレを生み、冒頭のような結果に繋がってしまいます。

作業を依頼する前にやらなければいけないこと

ここで大事なのは、そもそも依頼する人自身が、そのタスクの重要度を理解しているかどうか、です。本当に重要なタスクであれば、何日の何時までにといった期限が設けられるはず。逆に期限が設定できないということは、そもそもそれほど重要ではないタスクということになります。スケジュールに組み込むこともせずに実行しようとしていたわけですから。

では、どうすればいいか。ひとつめは、作業を依頼する側のスケジューリング。

「○日の●時までに入稿しなければいけないから、このタスクは明日の15時までに完了させておけばいいな」
このように最終的なゴールから逆算して期限を設定する。

ふたつめは、作業をする側とのすり合わせ。

A「先ほどの作業なんですが、いつ頃までに提出すれば良いですか?」
B「○日の●時が入稿なので、明日の15時までに終わらせて欲しいんだが、できそうかな?」
A「すみません、自分も今急ぎの仕事が入っていて15時にはちょっと間に合わないかもしれません。あ、でも16時ならなんとか」
B「よしわかった。16時でいけるよう他と調整しておく。すまないが頼んだよ」
というように、必ずコミュニケーションを取って双方の認識を明確化しておく。

こうして優先順位や期限の設定と、タスクに関わる人たちの認識を一致させることで、作業に推進力が得られます。逆にここをしっかりやっていなければ、時間に間に合わず、コミュニケーションロスを起こし、それらをフォローするためのタスクを生むことになってしまいます。

「なる早」はコミュニケーションロスを起こす言葉

人に何かをお願いする時に「なるべく早く」というのは、意味を成しません。それは思考を放棄し、作業者に対して責任をなすりつける行為です。この言葉の裏には「私はあの人に最優先で対応するよう指示出した。だから私には落ち度がない」という心情が見え隠れします。

僕はディレクションをしていて、何かをお願いする時に「なる早」「至急」といった言葉は使いません。必ず「こういった理由があるために、何日の何時までにお願いしたいのですが可能ですか?」と聞くようにしています。

「なる早で」といっている人は、まずは自身でそのタスクを理解し、作業する側になって一度考えてみましょう。逆に「なる早で」ともし言われた場合は、自分都合で解釈するのではなく、必ずいつの何時までなのか。そしてその期限に自分は間に合わせることができるのかを依頼者と相談するようにしましょう。

タスクを理解し、一つ一つのコミュニケーションを丁寧に行えば、仕事はもっと効率よく回るはずです。